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定期試験を終わって [教育]

前期の定期試験が終わって、今、答案の採点中である。試験は、学生にとって自分の学習したことが身に付いているかどうかをチェックする機会であるとともに、教員にとって自分の行った授業が教育的に効果があったかどうかをチェックする貴重な機会でもある。
正直言って、採点中に余りにも出来の悪い答案に出くわして、ガッカリするとともに腹が立ちそうになることもあるが、ここで腹を立ててはいけない。なぜなら、それが自分の行った教育の結果だからである。一方、素晴らしい答案に出会うと、非常に嬉しく感じるものである。
わずか15回程度の授業であるが、これほどまでに学生間に格差がついてもいいのかという気がしないでもない。同じように入学試験の関門をクリアしてきた学生達が、ひとつの授業で、片や専門家としての実力を身に付け、片や全く使い物にならない人間になってしまっている。これが、いくつもの授業で繰り返されたならば、人間の価値としては天と地ほどの差がついてしまう怖さがある。
出来の悪い答案を出した学生に共通して言えることは、まず授業をほとんど欠席しており、真剣に授業に臨んでいないという学習態度に問題がある。答案の中身を分析してわかることであるが、学生個人の能力が低くて悪い点を取っているという例は極めて少ない。そのような学生に対しては、適切な指導を行うことで大抵の場合は問題を解決することができる。
学習態度の悪い学生にとって、大学とはいったい何なのであろうか。高い授業料を払って、人生の中の貴重な4年間を費やして、そして何も得るものがない。そういう学生は、おそらく自分の意志で大学に来たのではなく、親や高校の先生の言うことに従って不本意ながら大学に籍を置いているのではないかと思うが、考えてみると不幸なことである。
そのような事態が発生する原因のひとつとして、日本の社会が学歴社会で、大学卒は厚遇するけれども、高校卒は冷遇するというような風潮があるからかもしれない。世の中の仕事には、大学卒でないと出来ないような専門的な仕事もあるが、そうでなくても何の支障もない仕事はたくさんある。実際、多くの人の尊敬を集めているプロスポーツ選手や人気芸能人は大学卒でないことが多い。もう少し、日本の社会自体がそのような多様性を受け入れられる構造になって欲しいものである。
そうすれば、履修登録だけして授業に出ない学生も減るであろうし、採点をする必要のない答案に採点時間を割くような無駄も無くなると思う。そして、何より、本当に勉強したい学生のために、もっと教育の時間を充てられるのではないかと考える。
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